─現実と対面する覚悟、そして真実に直面する覚悟─
この事件は惨劇で始まり、惨劇で終わった。確定した結末。確定した事象。確定した未来。
それはまさしく、絶対的な真理。変更を加える力は人にはなく、それこそ、人を超越した神の御技に他ならない。
だけど、その神すらも偽りだと云うのなら、人は────何を信じればよいのだろうか。
This incident began with a tragedy and ended with a nightmare. Confirmed ending, confirmed event, and so fixed future. That is the absolute truth. Humans have no power to make changes, and that is nothing but the transcendental skill of God. But if even that god is false, what should one believe?
Introduction
第一の夜、理に選定されし者、二つの肉体を煉獄に焚べよ
第二の夜、理に選定されし者、二つの肉体を正門へと翳せ
第三の夜、理に選定されし者、己が血肉を陣にて捧げよ
我ら、満ちたり────されど、未だ産声を挙げず
故に、汝らを以って完全なる受肉を求む
支となる四肢を抉りて殺す
核となる心臓を抉りて殺す
器となる頭蓋を抉りて殺す
生贄は終わりを告げ、冥界より出でる
さぁ、我を讃えよ 我の再誕に賛美せよ
さすれば、蒼月の夜、汝らの魂は楽園へと至る
輪廻の軛は終焉へと向かい、安らかなる静寂が訪れるであろう
死と再生の神、オルフェウスの御手によって────
「────惨劇は、いま一度甦る」
1996年。和歌山県南西部の海に浮かぶ小鞠島。
オカルト研究会に所属する8人は、合宿を行うべく島を目指していた。
理由は明白だ。大富豪が残したとされる遺産、古代宗教・オルフェウス教の碑文。その碑文を目の当たりにする、そして碑文の謎を解く絶好の機会に恵まれたのだから。
だが、俺はまだ知らない。
……いや、まだではない。何も知らなかったんだ。本当に、何もかもを。
小鞠島連続殺人事件(1996年10月10日〜10月14日)
参考文献リスト
・アガサクリスティー「そして誰もいなくなった」
・綾辻行人「十角館の殺人」
・アポロドーロス「ギリシア神話」
・志倉千代丸「カオスチャイルド」
・ジュリアン・ジェインズ「神々の沈黙-意識の誕生と文明の興亡」
・奈須きのこ「空の境界」
・支倉凍砂「ワールドエンドエコノミカ」
・レナル・ソレル「オルフェウス教」
・竜騎士07「うみねこのなく頃に」etc....